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やっと高校生になって、ゆとり感が抜けたブログ。サブカル中心とした学校生活を送ります。過度な期待をしてやってください。

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鍵士たちがいなくなった通学路で、その二つの影は話していた。二つの影の内、一方は男、もう一方は女のようだった。
「――なるほど、あれが久遠鍵士……」
 男の方が静かに呟いた。男の背丈はちょうど鍵士より若干大きいぐらいで、全身紺色の服を身に纏っていた。
「聞いていた話では、奴が『選ばれし者』らしいが、見るからに普通の高校生ではないか」
 男の髪の毛が風で揺れた。男の目には何故か黒い目隠しが付けられている。
「そう見えるだけよ。実際に殺り合わなければ『選ばれし者』かどうかは分からないわ。そうでしょ、リリューク? いいえ、人間界では桐夜という名前でしたっけ?」
 女の方は黒いマントが全身を覆っているため、顔までは分からない。ただ、背中には、銀色に輝く巨大なハンマーらしき武器が装備されている。
「どちらでもいい! とにかく今夜、俺は事を実行させてもらうぞ、ブリュンヒルデ」
「やめてよ、そんな古い名前で呼ぶの。今は人間風に千彩と名乗ってるの。それで、本当にあなた一人でいいわけ?」
「もちろんだ。奴を見る限り俺一人で十分すぎるぐらいだ」
「まあ、いいけど。せいぜい『概念の主』の一人として頑張ってね。『最弱の主』なんて汚名、さっさと消したいんでしょ」
 すると突然、男が手からナイフを出すと、女の首筋に突き付けた。
「あら、随分と血気盛んね。そんなに気に障ることだったかしら、『最弱の主』?」
「黙れ! 貴様には分からんだろうな、俺がどれだけその言葉に苦しめられてきたか!」
 男は持っていたナイフを女の首に振りかざし、その首を一瞬にして切り落とした。だが、普通の人間なら死んでいるはずなのに、女は生首の状態のまま、なおも話し続ける。
「そんなことしても私たちには無意味なことぐらい、あなたもよく知っているでしょう?」
 女の首のナイフで斬られた痕からは、大量の生々しい血が流れ出し、道路のコンクリートを真紅に染めている。するとどうだろう、頭が無くなっている女の胴体から、新しい首が再生し始めている。そして気付いた頃には、完全に女の頭はさっきと同じようにくっついている。
「いくら私でも、再生時間に10秒くらい要するのよね」
「俺は確かに『最弱の主』として呼ばれてきた。俺の攻撃は他の『概念の主』には致命的な傷すら負わせることもできない。ましてや、『概念破壊』の能力を持たざる人間にさえ、俺は殺される可能性がある。まさしく俺は不完全な存在だ」
 男は手に持っていたナイフを、女の目の前へかざした。
「何? そのナイフがどうかした?」
「俺はな、この百年間、せめて人には脅威となるべき存在になろうと、『殺人』の能力を磨いた。そして見出したのさ、独自の殺人術というものをな」
「なるほどね。人間ならば、『殺人』という方法を行使すれば簡単に破壊できる。だから独自の殺人術を編み出した。これなら人間という条件をもつ存在なら何の問題もなく破壊できる。そう言う事ね」
「ああ、つまり今の久遠鍵士ならば、本来の俺の力を出さずとも簡単に殺せるというわけだ」
 そう言うと男の手からナイフが消えた。どうやらこのナイフに実体は無いらしい。
「まあ『殺戮機械』ってところね。せめて『影縛の躁牙』の名を恥じぬようにね、ってもう行ったの」
 すでに男の姿は無く、道路には女一人だけが佇んでいた。
「私も、彼が失敗したときに備えて準備を進めるかな」
 そう言って、その女は姿を消した。今や道路には誰一人して、人の影は無い。
        *     *     *
「ただいまー! 未由、いるか~?」
 たしかに玄関には未由の靴はあったが、リビングの電気は点いておらず、静まり返っており、未由の姿も無かった。
「未由ちゃんいないの?」
 相変わらず俺の背中に乗っている凜が、ひょいと頭を出し、首をかしげながら言った。
「おかしいな、玄関には未由の靴もあったし、郵便物も取ってあったし。もしかしたら上の部屋にいるのか?」
 凜を背中に乗せたまま、二階への階段を上り、未由の部屋へと向かった。
「コンコン」
 ノックをしたが中から返事はこない。
「おっかしいな? 未由、入るぞ~」
 ドアを開けた。未由はそこにいるはず無いと思っていた。だが、目の前にはたしかに未由がいた。
「え、お兄ぃ!? それに凜ちゃん!?」
「み、未由、その格好……」
 あまりにもタイミングが悪かった。未由の姿は、上が制服、下が下着。つまりは着替え途中というわけだ。
「………………」
 数秒間、部屋の中に沈黙が流れた。そしてその沈黙は未由ではなく、先に凜が破った。
「なんていうかさ……、こういうシーン、よくラブコメである展開だよね。状況的にはどっちかって言うと修羅場だけど……」
 ――なんだ、その表現は? でも凜の言うとおり、この状況は結構ヤバイかも……――
 下を向いて震えていた未由が、凜の言葉によって吹っ切れたらしく、右腕の拳を振り上げながら、目を光らせ言った。
「お兄ぃ~、覚悟は出来てるよね~? 大丈夫、おとなしくしてれば一発ぐらいで勘弁してあげるから」
 顔は笑っているが、完全に兄撲殺オーラが漂っている。これはマズイと、俺の本能が訴えかけてくる。凜はそんな光景をただニヤニヤと笑いながら見ているだけだった。凜にとって鍵士と未由の兄妹喧嘩は嬉しい限りだからだ。
「いや、これはだな、未由……。決して覗くとかそういうつもりじゃなくて、だから、そう! お前がリビングにいなくて、捜していたらたまたま……」
「問答無用!」
 未由の拳が顔面に直撃した。
「グハッ!」
 そのまま床に倒れ込んでしまった。
「おお~、ぱちぱちぱち。未由ちゃん強~い!」
 倒れている俺を尻目に、凜は未由に賞賛の拍手を送った。
「さて、凜ちゃん。いったい何故ここにいるんですか?」
「それについては俺から説明する……」
 鍵士は痛みに悶えながら、ゆっくりと立ち上がった。
「実はな、凜、今夜泊まる家が無くてな。それで、凜一人でホテルに泊まらせるわけにもいかないだろ? それで住む家が決まるまで俺たちの家に泊めてやろうと思ったんだ。いいだろ、別に?」
 凜はコクコクとうなずきながら俺の話を聞いており、未由も少し悩んだ様子で聞いていた。
「なるほど。一応、お兄ぃの意見は分かった。凜ちゃんをたった一人でホテルに泊まらせるのはちょっと無理な話だもんね。だけど……」
「お願いします、未由ちゃん!」
 凜はペコリと頭を下げながら必死に頼み込んでいる。ここは俺もそうするべきか。
「俺からも頼む、未由!」
「うっ……」
 未由が一瞬ひるんだ。何故ひるんだのかは分からないが。
「二人とも顔上げてよ。私はそこまで非道い人間じゃないんだから。わかった、当分の間、凜ちゃんをこの家においといてもいいよ。その代わり、何かあったらその時は、お兄ぃ。覚悟しておいてね」
「はい、わかりました!」
 未由の最後の言葉だけが俺を不安にさせた。未由はまったく問題ないと考えているようだが、いつものことだ。確実に何か起きるに違いない。
 中学時代、初めて凜がこの家に泊まった時のことだが、俺が風呂に入っている時、勝手に凜が風呂に入ってきてしまい、さらにそこを未由に見られてしまったのだ。もちろんその後、思い出すのも恐ろしいほどに未由に殺されかけた。ちなみにその時は、四十八時間耐久拷問レース! というのは冗談だがそれ位の事をされた。
「実はさ、もう一つ報告しないといけない事があるんだ」
「そう! 大事なホ・ウ・コ・ク!」
「まだ何かあるの?」
「今日さ、新学期初日と凜の転入祝いってことで、この家でパーティーやろうって事になったんだ。それでみんなを呼ぼうと思うんだが、どうかな? 未由は賛成か?」
 未由は驚いたようだったが、すぐさま返事をした。
「賛成も何も、それなら早く準備をしないとダメでしょ! リビングだって散らかってるし、料理もたくさん用意しないと!」
「料理なら、今、絵莉菜が食材を買いに行っているから、大丈夫だ。きっと」
「絵莉菜さんだけに大変な思いをさせるわけにはいかないでしょ! それじゃあ私は料理の下準備するから、お兄ぃはリビングの片付け、凜ちゃんは部屋の飾り付けを!」
「了解☆」
「よっしゃ、いっちょやるか! そうだ、敦志と瑞樹にも連絡しておかなくちゃな」
 鍵士、未由、凜の三人はそれぞれの役目を果たしに、一斉に散った。パーティーまで、残り一時間。

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                                        *     *     *
 雪乃先生がホームルームを早く終わらせたいという意向から、帰りのホームルームは迅速に終わり、俺たちA組の生徒は帰宅の路についていた。
「高校生二年生の初日、やっと終わったねー」
「ほんとやっと終わったって気分だよ……。初日からこれじゃあ、俺マジで死ぬかも」
「でも私は結構楽しかったよ?」
「俺は疲れただけだ。ところで、瑞樹と敦志はどこにいったんだ? ホームルームが終わってすぐに姿が見えなかったけど」
「瑠璃ちゃんは陸上部の集まりで、放課後学校に残るんだって 一之瀬君はどこに行ったか知らないど」
「ま、敦志のことだろうし、どっかの女子の尻でも追いかけてんだろーな。あのフレアって留学生とか雨宮沙羅だっけ、そいつ」
「雨宮さん、学級委員長になっちゃったよね。雨宮さんって、みんなから恐れられてるらしいよ。なんでも、雨宮さん、図書委員もしていて普段はああ静かなんだけど、真夜中になると、暗殺家業をしているとかっていう噂があるんだって!」
「今の世の中に暗殺家業なんかあんのかよ。まあ雨宮みたいなやつなら案外似合いそうだな」
「そう、それでね。今まで雨宮さんに告白した男子って結構いるんだって。あの無表情さがいいんだって」
「この広い世界ならそれぐらいのマニアがいても可笑しくないしな」
「でも告白した男子全員が全滅だって。雨宮さんに即座に『私、そういうの興味ないから』って言われたんだって。それでもまだ告白する男子が絶えないんだって」
「なんだかすごいな、雨宮って……」
「そうそう、すごいっていえば、他のクラスにすごくちっちゃな小学生みたいな女の子の高校生が転入してきたんだって。どんな子だろうね?」
 その絵莉菜の言葉に俺はハッとした。その女の子、間違いなく……。
「なあ絵莉菜、その高校生ってのは金髪碧眼のツインテールの女の子か?」
「えっ!? そうだけど、鍵士君知ってるの?」
「ああ、というよりその女の子と今日の朝、一緒に登校した……」
「一緒に登校したって、まさかその女の子って……」
「お兄ちゃ~ん!」
 遥か遠く、俺たち二人の背後から、朝にも聞いたと思われるセリフが聞こえた。
「やっぱり凜のことだったか……」
「凜ちゃんだったんだね……」
 凜は俺を発見したことにとてつもなく喜んでいるようで、笑顔で手を振りながら俺たちの方へ走ってくる。そのスピード、恐らく俺の百メートルのタイムより速い。
「お兄ちゃん、見~つけた! それに絵莉菜ちゃんも~!」
 凜は早速俺の背中へと跳び乗った。
「それは俺のセリフだ。凜、一体お前はどこに行ったんだ?」
「ひどいよ~、お兄ちゃん。急に凜の前からいなくなっちゃうんだもん。おかげで一人で自分のクラスを探さなくちゃいけなくなったんだから~! ぷぅ~」
「だからさ、お前が勝手に消えたんだろ! それで捜そうと思ったんだが、たまたま敦志に会ってな。敦志の勘違いのおかげで結局お前を見つけられなかったんだよ」
「ふ~ん、まあいいや。何にしてもお兄ちゃんに会えたんだから! 絵莉菜ちゃんも久しぶりに会えて嬉しいな!」
「うん、凜ちゃん久しぶりだね。いつ中国から帰ってきたの?」
 絵莉菜もかつて中学時代によく遊んでいた凜と久しぶりに会えたからか、とても嬉しそうな表情だ。
「今年になって日本に帰ってきたんだ☆ お兄ちゃんに会いたくなって!」
「おい、凜! その『お兄ちゃん』ってのはやめろって朝にも言っただろ!」
 すかさず拳を天高く上げた。
「ふえぇぇ~ん、ゴメンなさ~い!」
「鍵士君、凜ちゃんがかわいそうだよ」
「でもよ、そうじゃないと他の生徒から変な目で見られるじゃんか。中学の時と違って、俺たちもう高校生なわけだし、いくらなんでもキツイって」
「たしかにそうかもしれないけど、凜ちゃんがそういう風に鍵士君を呼んでないと違和感があるんじゃないかな?」
 そりゃ絵莉菜の言ってることはよく分かる。俺も朝、そうは思った。けど、これ以上周りの注目を浴びるのは嫌だしな……。
「まあ、そう言われればそうなんだが……。わかった。じゃあ凜、極力それで我慢するけど、なるべく生徒達の前では控えろよ。それから未由の前で言うのには気をつけろよ。あいつ、本当の妹なんだから」
「ウン、わかった! 言わないようガンバル!」
 ――あれ、朝もこんな約束、凜と交わしたような……。ま、いっか――
「よし、それならいい。ところで、凜はどこのクラスになったんだ?」
「そうだよ、凜ちゃんはどこのクラスなの?」
「クラス? C組だよ。自分のクラスがどこか、探すの本当に大変だったよ~。それにさ、行く先々でどうしてか知らないけど、いろんな生徒に囲まれちゃったんだよね」
 凜みたいな小学生体型の女の子が高等部の校舎にいればそりゃ生徒の目を引くわな。こんな高校生、珍しいだろうし。
「C組ってあのフレアさんがいるクラス?」
「ウン、そうだよ。あのフレアさんって人、なんか変わった感じの人だよね」
 凜の方がよほど変わってると思うが。
「それでさ、明日から凜もお兄ちゃんたちと一緒に登校していい?」
「ああ、好きにしろ。それよか、俺の家なら勝手に出入りしても構わねえよ。母さんはしょっちゅうわけわかんない研究施設で働いてて、いつも家にいないから、家は俺と姉貴と未由の三人だけだし、時々絵莉菜も来てるからな。ま、気軽に来いよ」
 母さんは、いつも俺たち三人に家のことを任せて、国際政府の研究機関で働いてる。どんないかがわしい研究をしてるかは知らないが、その仕事はかなり忙しいらしくて、家に帰ってくるのは一ヶ月に一回ぐらい。すぐにまた家を出て行ってしまう。もちろん母親がそれでいいなら俺もいいし、子供三人を一人で養っているのには正直感謝せざるをえない。
「ウン、じゃあそうする!」
「なんだか今まで以上に賑やかになりそうだね、鍵士君」
「まあ賑やかなのはいつもの事だしな。それで凜はどこに住んでいるんだ?」
「まだ決まってな~い」
「何!? お前もしかして、自分の家ないのか?」
「ウン。だって勝手に中国から帰ってきたから、まだ住む家も決まってないし、前に住んでた家はもう売り払っちゃったし。テヘ☆」
「テヘ、じゃねえよ! それじゃあ今夜どうすんだよ!」
「ん~、とりあえず繁華街にある不動産屋さんに行って住むところを探そうと思ってるんだよね。一応お金はちゃんとあるから」
 そう言って凜はお財布を取り出すと、中には何十枚もの札束がギッシリと詰まっていた。
「でも凜ちゃん、この時間じゃ、今日中には無理だと思うよ」
 いくら何でも無理な話だ。そもそも、凜が不動産屋に行ったところで真面目に取り合ってもらえるだろうか? 否、確実に子供扱いされるだけだろう。
「ダイジョーブだって! その時はその時。どこかのホテルに泊まるからさ。ほら、駅前の新しくできた綺麗なホテル。一度、泊まってみたかったんだよね!」
 凜の言ってる、その駅前に新しくできた綺麗なホテルというのは、『ロイヤルバレー紅華ヶ丘』という全国屈指の超高級ホテルで、経営してるのはどこかの有名な大企業らしい。そのため泊まるのはよほどのお金持ちか、著名人だという話だ。そんなホテルを凜は泊まると言っているのだ。
「いや、無理に決まってる! 小学生みたいなお前一人を泊めてくれるホテルなんか世界中を探しても無い! ましてやあそこのホテルは絶対に入れない!」
「わかったよ~。それじゃあ今日はお兄ちゃんの家に泊まる!」
 それはそれでいろいろと困るんだが……。だが、凜一人をホテルに泊まらせるわけにもいかないし、ちゃんと理由を説明すれば未由も了解してくれるだろう。
「ああ、それならまだマシだ。凜もその方が落ち着くだろ」
 その時、絵莉菜が何かを思いついたらしく、ゆっくりと手を挙げた。
「それじゃあ、今夜は久遠君の家でパーティー開かない? 新学期初日と凜ちゃんの転入記念ってことでさ!」
「そりゃあいい考えだ! ナイス、絵莉菜! それなら未由も賛成してくれるだろうし、姉貴も喜んでOKするな。 そうと決まったら早速帰って準備をしなくちゃな!」
「じゃあ、私は商店街で買い出しをしてくる! 二人は何は食べたい?」
「凜、焼肉が食べたーい!」
「そうだな、せっかくのパーティーだし豪勢に焼肉にすっか! 姉貴も焼肉大好物だし」
「分かった。じゃあ行ってくるね!」
「絵莉菜、助かるよ。俺と凜は先に家帰ってパーティーの下準備をしておくよ。ああ、敦志と瑞樹の二人も呼んでおくから!」
「うん、じゃあまた後でねー!」
 絵莉菜は商店街へと走っていった。残された俺と凜はそれを見送ると、自宅へと向かって駆けだした。
「よし、家まで競走ってのはどうだ?」
「ウン、負けないよお兄ちゃん!」
「ヨーイ、ドン!」
 二人は大きな声で叫ぶと、鍵士の家へと全速力で走った。
 この時はまだこんな楽しい時間が限りなく続くと思っていた。だが、その思いとは裏腹に、既に鍵士の背後には何者かの影が迫っていた。その存在など知る由もなく……。

 中世騎士物語の代表作、アーサー王伝説に登場するブリテンの王、アーサー王が所持する王者の剣。
 
 アーサー王伝説の中でも重要な位置を占めており、魔力を秘めた伝説の名剣の代表格である。そのため、エクスカリバーは様々な作品において意匠化され、この名を冠する剣のほとんどが強力な能力を持つ聖剣として描かれている。

 エクスカリバーはアーサー王とも関係の深い、妖精の国アヴァロンで鍛えられた剣で、その刀身は、30本もの松明に等しい明るさで輝いており、柄には幾つもの宝石が埋め込まれており、鍔は黄金でできている。
 さらに見た目だけでなく、どんなものでも切り裂いてしまうほどの切れ味と、刃こぼれすることのない強靱な硬度を兼ね備えた、まさに名実共に、最強の剣なのである。

 物語におけるエクスカリバーの登場は、アーサー王が岩に刺さった剣を引き抜き、自らのブリテンの王権を立証するために使われた剣である。この剣はアーサーの父、ユーサー・ペンドラゴン王の死後、ロンドンにて諸侯たちが、次の王を決める際、突如として、大聖堂前の広場に石の台座に突き刺さった状態で出現した。
 台座には『この剣を引き抜きしものは王たる資格を持つものなり』と書かれており、多くの諸侯や騎士たちがこの剣を岩から引き抜こうと試したところ、誰一人としてこの剣を引き抜くことはできなかった。
 しかしその後、小領主エクトールの元に預けられていた15歳のアーサー王が、ひょんな事から偶然にもこの剣を引き抜き、それによってアーサーはブリテンの王となったのである。

 名前の由来としては、「王者の剣」という意味を持つカリバーンが折れる前のエクスカリバーの名称であり、その後、湖の姫が鍛え直したためにエクス・カリバー(ン)という名になったとされる。また、別の名をコールブランドとも呼ぶ。
 他説には、ケルト神話のアルスター伝説に登場する、「硬い稲光」という意をもつカラドボルグが原型だという説もある。

 エクスカリバーの形状は西洋剣のイメージからか、両刃の剣だという認識が一般的だが、アーサー王が活躍したといわれる時代は、現在のナイフと言うべきサクスの中でも特に長い、戦闘用の片刃の刀剣スクラマサクスが造られていた時代とちょうど重なり、またアーサー王伝説に関連する書物「ガウェイン卿と緑の騎士」の挿絵に、アーサー王が片刃の剣を持つ姿が描かれており、この二つを考慮すれば、片刃の剣という説もうかがえる。

 エクスカリバーはアーサー王権の象徴ともいうべき代物であり、英雄が超自然的能力を持つことを表した聖剣なのである。

◎ なんかもう高校生…
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◎ 管理人は何者?
HN:
音瑚まろん
性別:
男性
職業:
高校生を主にやってる
趣味:
PCゲーム、QMA、他サブカル全体。あと、エ〇ゲ。
自己紹介:
嫁:ふたみたん(byいつか、届く、あの空に)
  関羽さま(by恋姫†無双)
本日のオカズ:ヤンデレやメイド、最近メカ娘にも手を出し始めたようだ
好きなPCゲームw:いや、これといったものはない。浅く、広く、鬼畜を除く
崇拝する絵師:萌木原ふみたけ


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