中世騎士物語の代表作、アーサー王伝説に登場するブリテンの王、アーサー王が所持する王者の剣。
アーサー王伝説の中でも重要な位置を占めており、魔力を秘めた伝説の名剣の代表格である。そのため、エクスカリバーは様々な作品において意匠化され、この名を冠する剣のほとんどが強力な能力を持つ聖剣として描かれている。
エクスカリバーはアーサー王とも関係の深い、妖精の国アヴァロンで鍛えられた剣で、その刀身は、30本もの松明に等しい明るさで輝いており、柄には幾つもの宝石が埋め込まれており、鍔は黄金でできている。
さらに見た目だけでなく、どんなものでも切り裂いてしまうほどの切れ味と、刃こぼれすることのない強靱な硬度を兼ね備えた、まさに名実共に、最強の剣なのである。
物語におけるエクスカリバーの登場は、アーサー王が岩に刺さった剣を引き抜き、自らのブリテンの王権を立証するために使われた剣である。この剣はアーサーの父、ユーサー・ペンドラゴン王の死後、ロンドンにて諸侯たちが、次の王を決める際、突如として、大聖堂前の広場に石の台座に突き刺さった状態で出現した。
台座には『この剣を引き抜きしものは王たる資格を持つものなり』と書かれており、多くの諸侯や騎士たちがこの剣を岩から引き抜こうと試したところ、誰一人としてこの剣を引き抜くことはできなかった。
しかしその後、小領主エクトールの元に預けられていた15歳のアーサー王が、ひょんな事から偶然にもこの剣を引き抜き、それによってアーサーはブリテンの王となったのである。
名前の由来としては、「王者の剣」という意味を持つカリバーンが折れる前のエクスカリバーの名称であり、その後、湖の姫が鍛え直したためにエクス・カリバー(ン)という名になったとされる。また、別の名をコールブランドとも呼ぶ。
他説には、ケルト神話のアルスター伝説に登場する、「硬い稲光」という意をもつカラドボルグが原型だという説もある。
エクスカリバーの形状は西洋剣のイメージからか、両刃の剣だという認識が一般的だが、アーサー王が活躍したといわれる時代は、現在のナイフと言うべきサクスの中でも特に長い、戦闘用の片刃の刀剣スクラマサクスが造られていた時代とちょうど重なり、またアーサー王伝説に関連する書物「ガウェイン卿と緑の騎士」の挿絵に、アーサー王が片刃の剣を持つ姿が描かれており、この二つを考慮すれば、片刃の剣という説もうかがえる。
エクスカリバーはアーサー王権の象徴ともいうべき代物であり、英雄が超自然的能力を持つことを表した聖剣なのである。
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