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やっと高校生になって、ゆとり感が抜けたブログ。サブカル中心とした学校生活を送ります。過度な期待をしてやってください。

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「まあまあ、瑞樹。今はそのくらいにして席に座りな。さ、雨宮。私もさっさとホームルームを終わらせたいんだ。趣味ぐらい言ってくれ」
 雪乃先生が怒る瑞樹をなだめながら言った。瑞樹は、今日の朝に見た雪乃先生の真の怖さを知ってか否か、そのまま黙って席に着いた。
そして、雪乃先生の命令通り、雨宮は本を読むことをやめ、再び座席を立った。
「わかりました。趣味は読書。以上です」
 結局、簡単な言葉で雨宮の自己紹介は終わり、席に着いた雨宮は、さっきと同じように、また本を読み始めた。その行動が余計に俺の雨宮という名の謎の女子生徒への興味を抱かせた。
 敦志の自己紹介は毎年一緒で、
「みんなもご存じのとおり、俺が一之瀬敦志だ。女子生徒諸君! 連絡ならいつでもOKだ。詳しいことは後で直接俺に聞いてくれ!」
 こんな調子だから、敦志のクラスデビューは決まって失敗する。敦志は普通に見れば、そこそこ、いや偏差値なら60くらい軽く超えるほどの良い顔立ちをしている。それに、勉強以外ならほぼ無敵なのである。ただ、その性格と言動は完全に破綻しているといっても、おかしくないだろう。この女好きの性格は、俺が初めて会ったときから、一度とて無くなったことはない。多分、この先もずっと、敦志はこのハンデを背負っていくのだろう……。
「それじゃあ次、如月!」
「ハ、ハイッ!」
 ――俺も緊張しているが、どうやら絵莉菜もそのようだな――
「え、え~と、如月絵莉菜です! 趣味はあの、その、強いて言えばお料理をすることです。それから……、特技ですけど、特技と呼べる代物かどうか分かりませんが、掃除とかお料理、家事全般です。それで、あの、ふつつか者ですが、一年間よろしくお願いしますっ!」
 ―ふつつか者って……。まるで嫁に行くような、てか、自己紹介の場で言うセリフか!?――
 しかし、そのセリフは逆に、さっきまで凍り付いていたクラスの雰囲気を和ませた。こういうところもまた、俺が絵莉菜を好きになった理由の一つなのである。絵莉菜と話していると、どんなに怒ってても、また悲しんでいても、心が晴れてくるように、和ませてくれるのである。
 絵莉菜が掃除とか料理とかの家事全般の事を得意なのは、本当のことである。それは、ただ単に好きだからと言う理由ではなく、もっと深い
理由にあった。
 八年前、その事故は起きた。
 その日、如月雄作とその妻、琴絵、そして当時八歳だった、二人の娘、絵莉菜を含む、家族三人の如月家は、久しぶりの家族全員で車に乗って、紅華ヶ丘町から少し離れた山へとドライブに行っていた。その日は、久しぶりのよく晴れた天気で、絵莉菜はとても楽しい時間を過ごした。
 しかし、その帰り道、日中まで晴れていた天気が急に悪天候となり、大雨も降り出し、視界はとても悪くなっていたという。
 そして悲惨な事故は起きたのである。三人の乗った車は山道でのカーブを曲がりきることができず、そのまま谷へと落下してしまった。
 車は完全に大破し、三人はすぐさま近くの病院へと運ばれたものの、三人の生存は絶望的だと思われていた。
 しかし、長時間に及ぶ手術の結果、父、雄作は奇跡的に一命をとりとめたのである。そして何より驚いたことに、絵莉菜は全くの外傷が無かったのである。それは、彼女をまるで守るように母、琴絵が必死に抱きかかえていたのである。そのおかげで、絵莉菜は手術を受けることなく、生き残ったのである。
 だが、三人全員が生き残ったというわけでは無かった。絵莉菜をかばった母、琴絵は見るも無惨な身体になってしまい、懸命な手術を施したが、死には至らなかったものの、二度と目を覚ますことのない、植物人間状態となってしまったのである。
 そして、絵莉菜にもまた、目には見えない深い傷を負おったのである。絵莉菜は、相当のショックを受けたらしく、事故後、心理状態が不安定となり、それによって絵莉菜は、今では考えられないような事件・事故を起こした事さえあった。それほど当時は深刻な状況だったのである。
もちろん、その事は絵莉菜はもちろんのこと、俺の記憶の片隅に今でも在り続けている。
 その後、今までの八年間の間、父、雄作は徐々に回復しているものの、いまだ入院中であり、やはり母、琴絵はずっと目を覚まさないのである。
 だが、月日が流れたことにより、いつしか絵莉菜も、事件のことさえ嘘の出来事だったように、明るく、いつでも笑顔を振りまいている。しかし、それでも、あの事件のことを完全に忘れる日は、恐らくこれから先、永遠にないだろう……。
「オイ、鍵士! お前の番だぞ!」
「えっ!? は、はい!」
 絵莉菜の事を考えていたおかげで、自分の番をすっかり忘れていた。一体、自己紹介など、どうやってすればいいのか全くわからない。よりに
よって、テンパってしまうとは……。
「その、何つーか、久遠鍵士って言います。ああ、多分朝の始業式で名前は知ってると思うけど。それと趣味は特にないです。特技も……、ありません。いえ、マジ本当にありません。すみません」
 クラス中にどっと笑い声が響いた。仕方ない。俺が言ったことは本当の事なのだから。今の今までなんとなく生きてきた俺には、趣味とか特技なんてものは無いし、学力とか運動神経も平均的で、突出しているとは言い難い。だからといって部活とかそういうのをやるのは、だるくて結局長続きしないか、そもそも入部する気も起きない。瑞樹にはその事でしょっちゅう言われ、一緒に陸上部に入りなさいと強引に勧誘されたが、やっぱり入部はしなかった。まあ、敦志と一緒に帰宅部をするのは気楽なので、このままでいいと思っている。ただし、敦志の場合、時折、運動系の部活に助っ人として参加しているので、完全に帰宅部なのは、俺一人だけなのである。
「なんだ、久遠。趣味も特技も無いのか? それでも高校生か! 高校生ならもう少し活気があるはずだろう!」
 ――雪乃先生。ほんとに無いんだって……。そういえば、雪乃先生はバレー部の顧問だったっけな。どうりで、よくドラマにいそうな熱血体育教師みたいなのか――
「いや、雪乃先生、ほんとに無いものはないんですって。俺には何の取り柄もないんすよ……」
 またしてもクラス中が沸きに沸いた。俺の言葉によって。
「わかった、わかった。聞いた私が悪かったな。よし、それじゃあ気持ちを切り替えて、次、十番!」
 ――ようやく終わったか……――
 ほっと胸を撫で下ろしていると、前の席に座る絵莉菜が突然グルッと俺の方へ顔を向けた。
「うわっ! な、何だよ絵莉菜!」
「ふふふ。鍵士君、相当緊張してたでしょ。手、すごく震えてたし、汗もびっしょりだよ」
 何たる観察眼だ! たしかに絵莉菜の言うとおり、俺はとてつもなく緊張はしたし、手も震えていたのかもしれない。ワイシャツも汗でべったりと濡れている。
「ば、バカ言え! これはな、武者震いって言うんだよ! そういう絵莉菜こそどうなんだよ?」
「うん、ホントのところ、私すごく緊張しちゃったんだ。こういうの結構苦手なんだよね……。エヘ、私やっぱりおかしいのかな?」
「いや、俺も同じようなもんだって。別にそれぐらいおかしい事じゃないよ、どちらかと言うと、そこが絵莉菜の可愛いところというか……」
「そ、そうかな? 私は弱気な自分、あんまり好きじゃないんだけど、鍵士君がそう言うんなら、なんか自信出てきたな! それにさ、鍵士君にも、ちゃんと特技があると思うよ」
「いや、絵莉菜がそう言ってくれるのは嬉しいけど、本当に特技なんて俺にあるのか?」
 絵莉菜は一瞬、笑顔で俺を見つめ、そして答えた。
「誰にでも優しいところ!」
 予想外の答えだった。それは絵莉菜の長所ではないのか? 何にしても俺みたいな無愛想な人間に、そんなところ、あるわけがない。
「それを言うなら絵莉菜のことじゃないのか? 俺なんて、人に優しくした覚えなんて、特に無いんだけど」
「自分ではそう感じていても、周りの人は鍵士君を優しい人だと思っているよ。私も鍵士君は、すっごく優しいと思うな!」
 そんなことを俺以外の人が思っているとは、全く知らなかった。本当の自分を知らないのは、他人以上に俺自身の方じゃないのかと感じた。
「そ、そうなのか? 初めて聞いたよ、そんなこと」
「バシッ!」
 雪乃先生の持つ出席表が鍵士の頭を直撃した。
「いって!」
「久遠鍵士~。少しは静かにしてくれないと、こっちも困るんだけどね~」
「ス、スミマセンッ!」
 慌てて絵莉菜は前へと、顔を戻した。
 こんな会話、今まで無かった。と言うよりあり得ないのだ。絵莉菜から俺に、しかもあんなに顔を近づけて話すのは。これは、ひょっとしたらひょっとするのかもしれないのか? だとしたらやはりチャンスは今年……。
 ――今年なら、絵莉菜に告白できるかも……――

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嫁:ふたみたん(byいつか、届く、あの空に)
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本日のオカズ:ヤンデレやメイド、最近メカ娘にも手を出し始めたようだ
好きなPCゲームw:いや、これといったものはない。浅く、広く、鬼畜を除く
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