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やっと高校生になって、ゆとり感が抜けたブログ。サブカル中心とした学校生活を送ります。過度な期待をしてやってください。

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「ここがとしょかんかー! やっぱり広いんだねー、それに本もいっぱいだー!」
 子供のようにはしゃぐ凜。それにしても図書館に来るなんて何ヶ月ぶりだろうか。そもそも、図書館に来る奴なんて、どっかの真面目な優等生や本好きなやつらだけだ。俺にとってはこんな場所、無関係というわけだ。
「お兄ちゃん、こっちこっち!」
「おいおい、あまり走るなよな。じゃないと、図書委員に怒られちまうからな……!」
 その時、図書室の中央にある本の貸し出し窓口が目に入った。そこには、他ならぬ雨宮その人がいた。
 ――そうか、雨宮は確か図書委員だったっけな――
 それにしても雨宮は読書以外、することがないのか? やはり椅子に腰掛けながら、分厚い本を読んでいる。完全に自分の世界に入っているのか、それとも周りの外界に興味を持っていないのか。そうでもなきゃ、いつもいつも読書出来るはずがない。
 しかしその姿はやはり何か神秘的な、雰囲気に包まれていた。第一、眼鏡属性というのが狡い。あそこまで眼鏡が似合うやつが過去十七年間にいたか!? 
「お兄ちゃん、早くー!」
「今行くから、待ってろって!」
 雨宮はおいといて、今は凜との学内巡りが先だ。すぐさま、凜の方へと向かった。どうやら凜は本棚から何かの本を出したいらしい。しかし凜の身長はその本が置かれてある高さより全然低い。そのため一生懸命、背伸びをしたり、ピョンピョンと跳びはねても、指先にかするので精一杯なのが現状だ。
「どうしたんだ、凜? 何か取りたい本でもあるのか?」
 まあ、見りゃ分かるんだがとりあえず質問。
「う~ん。どうしても取りたい本があるんだけど、見て分かるとおり本棚が大きくて取れないんだ」
「はいはい。それじゃあ取ってやるよ。どんな名前の本だよ?」
「アリガト! えーとね、『必殺☆滅殺☆中国拳法虎の巻』って本」
 ――なんだその本のタイトル……。流石はうちの図書館、どんな本でも置いてあるんだな――
「えーと、必殺☆滅殺……っと、お、あったあった」
 その本は本棚の最上部に置かれていた。ほこりに覆われているのを見る限り、読まれている形跡は無い。背表紙は筆字で重々しく虎の巻と書かれてある。名前のわりには意外とマジな本のようだ。
「チッ。結構高いな。俺の身長でもあの本は取れそうにないぜ、凜」
「それじゃあさ、肩車すればとどくんじゃないかな?」
 なるほど、俺の身長ではダメでも、凜と合わせた身長なら2メートルぐらいはあるだろう。それなら余裕だ。
「よし。それじゃ、しっかりと肩につかまれよー!」
「やったー! 取れたよ、お兄ちゃん!」
 凜は勝ち誇ったような笑顔で本を抱きかかえながら、背中から降りた。
 結局その本を少しの間読んでいた凜だが、完全に名前負けの内容だったらしく、書いてある事は全て既に習得しているから意味がない、らしい。まあ、その通りだろう。
 そのまま、本は借りずに、またブラブラと図書館の中を見た。久しぶりというか、ほぼ初めて見る俺だったが、よくもまあ、こんな図書館があるもんだな、と感じた。床や壁、それに柱は全て大理石のようだし、蔵書量だって見ただけで普通の図書館の十倍はある。その他にも様々な造形芸術作品と呼ばれる彫刻、それに絵画、果ては図書館の中にあるはずのない滝まで流れている。どれだけの金をかければこんな図書館が造れるんだ?

「どうだった、図書館は?」
「うん、思った以上に広かったー。でも、朝から見てると段々スケールの大きさに慣れてきたのかな、逆にそれが普通に思えてきちゃった」
「凜もようやく学園の生徒になってきてる証拠だな。そりゃ、ここに通っていればスケールの大きさにも慣れてくるのが当たり前だしな。それで、次は何処に行こうか?」
 朝と放課後で、俺の考えるだいたいの名所・スポットは巡ることができたし、もう特に巡るところは思いつかない。
「う~んとね、それじゃあ屋上に行きたいな!」
「屋上か……。成る程、確かにまだ見てないし、最後にはもってこいの場所だな。よし、それじゃあ最終下校時刻も迫ってきてることだし、最後は屋上に行くとするか」
 高等部の校舎は大学部には劣るが、それでもかなりの高さがある。エレベーターが完備されている事自体、それを表している。そのため、屋上から見る風景はまた格別である。とは言っても、普段、特にお昼時は生徒で溢れかえるので入ることさえ難しい。だが今の時間帯なら、いても告白するような生徒同士ぐらい。人がいることは滅多に無い。
「よし、どうやら誰もいないようだな」
 予想通り、屋上には誰一人として姿は無い。
「ほら、こっから見てみろよ、凜。すっごく景色が綺麗だから」
「ホントだー! こんな綺麗な夕焼け空、初めて見たかもー!」
 太陽の沈みかけた茜色の夕焼け空は、この屋上だからこそ眺められる絶景だった。紅華ヶ丘町の姿がよく見える。米粒くらいの人が、たくさん動いている。
 ――本当に、この町は今、危機に曝されているのだろうか……――
 もしそうだとしても、やっぱり今日もこの町の人たちはいつも通り、平和そうに暮らしているじゃないか。そりゃ、笑っている人、悲しそうな人、怒っている人。それぞれが皆、この時を様々な思いを抱きながらそこにいる。それでも、平和には変わらないんだろう。
「なあ、凜。俺……、やっぱり……」
「ん、何?」
 鍵士が何かを言いかけた瞬間だった。鍵士は凜の背後に迫る影の姿を見てしまった。
「凜!!」

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