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やっと高校生になって、ゆとり感が抜けたブログ。サブカル中心とした学校生活を送ります。過度な期待をしてやってください。

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「どうした、お前ら、元気がないぞ? それでも高校生か! そこで喧嘩している二人、えーと、確か一之瀬と瑞樹か、
二人ともまさしく『青春』を謳歌しているようじゃないか!」
 ――おーい、先生ー。それは多分間違ってるぞー。どう見てもこの光景は何の変哲もないただの喧嘩だろ……――
「あ、あの、雪乃先生……」
 突然、絵莉菜が声を発した。普段、自分から話すことが滅多にない絵莉菜が、いきなりこの状況で発言するとは予期せぬ
事態だった。
「ん? なんだ、絵莉菜?」
 雪乃先生もこのタイミングに絵莉菜が発言するとは思わなかったのだろう、不意打ちをくらったように驚いた様子だった。
「あと五分で始業式始まっちゃうんですけど……」
「なにー!?」
 雪乃先生、そしてクラスの生徒たちがその言葉に驚いて、教室の時計をすぐさま目を向けた。もちろん俺も。
 確かに時計の針は既に始業式五分前、いやわずかにそれを過ぎている時間だった。
「ま、マズイわ! みんな、早く体育館に行って頂戴!」
 それを聞いたA組の生徒達は、慌ただしく教室を出て行った。
「先生、この二人はどうするんですか?」
 今の先生の声すら聞こえていなかったらしく、依然として二人の喧嘩は続いていた。
「まだやってんの!? もう、仕方ないわねー。ほら、二人とも、いい加減にしなさい!」
 鍵士と絵莉菜、喧嘩真っ最中の敦志と瑞樹、そして雪乃先生のたった五人しかいない教室に、彼女の恐ろしいほど大きな
部屋中に声が響き渡った。
 そのあまりの声の大きさに、敦志と瑞樹の二人は、ぽかんと口を開けたまま止まってしまった。俺と絵莉菜も、雪乃先生の
迫力には正直驚いた。どうやら噂は本当らしい。
「は、はい……! すぐ体育館に向かいます!」
 そう言うと敦志と瑞樹の二人は、すごすごと教室を出て行った。
「ねえ、鍵士君。あの二人をこんなにも簡単に素直に従わせるなんて、雪乃先生ってすごいね」
 絵莉菜が俺の耳元で小さく囁いた。
「ああ、こんな先生、いまだかつて見たことねえよ……」
「おい、久遠、それに如月!」
 今度は俺らの方を向いて、大声で叫んだ。
「ハイッ!」
「君たち二人は、そこらじゅうに散乱しているプリントを責任持って、今すぐ回収し、机の上に一枚残らずそろえて置いて
おくこと! いいわね!」
「了解しました! 今すぐ片付けます!」
 即座に二人はどこぞの軍隊の、上官の命令を受ける兵士のように敬礼の構えをした。
「あと、言い忘れたけど始業式にはちゃんと参加しといてね。それじゃあ」
 ――んなのムリに決まってんだろ! 俺と絵莉菜で残り三分でどうやって片付けろっていうんだよ!――
「あら、何か言いたそうね、久遠鍵士? 言いたいならどうぞ、遠慮せず言ってご覧なさい?」
 言葉は優しげでも、その形相は、一言でも文句を言えば、どのような目に遭わされるか、というような顔だった。これでは
本音を言いたくても、言えるはずがない……。
「いいえ、何でもありません!」
「そう、じゃあそういうことで。あとヨロシク!」
そう言って、雪乃先生は教室を出て行ってしまった。教室に取り残されたのは、俺と絵莉菜の二人だけ。
「バタン」
 教室のドアの音が俺の心に強く響いた。
「でもまだ、三分もあるし、鍵士君と一緒なら私、心強いな。だからさ、頑張りましょう!」
 いつも笑顔を絶やさない絵莉菜。それはこのような状況でさえも言える。この笑顔を出されてはやるほかない。
「そうだな。絵莉菜の言うとおりかもしれん。そんじゃ、いっちょやりますか!」
「うん!」
 絵莉菜と一緒にいられる時間がこんなにも楽しく、そして嬉しいとは思わなかった。やはり俺の好きな人は絵莉菜、彼女しか
考えられない。そう再び噛みしめた。
 ――こりゃ、雪乃先生にも感謝しておかなきゃな……――
       *     *     *
 死に物狂いでプリントの片付けをしたおかげか、なんとか三分以内で終えることが出来た、俺と絵莉菜は、すぐさま始業式の
行われている体育館へと急いだ。
 だが着く頃には、既に学園の生徒で体育館は溢れかえっていた。
 うちの学園の体育館なのだから、やはりとてつもなく巨大で、東京ドーム三個分に匹敵するという。たしか東京ドーム一個分の
収容人数は約四万五千人だというので、単純計算で、この体育館には十二、三万人強の人数が収容できるということか。しかし
それだけ広いこの体育館が満員状態なのだから、うちの生徒の数もそれに比例して多いということが分かる。もはや学校の常識を
超越しているとしか言いようがない……。
「でも、やっぱりスゴイよね、私たちの学校って。毎年この光景は見てるけど、やっぱり慣れないね。それで……」
 絵莉菜はあたりをキョロキョロと眺めた。どうやらA組の場所を探しているらしい。
「どこに高二A組の場所はあるのかな?」
 絵莉菜が困ったような顔で聞いた。そうは尋ねられても、俺に出来ることなどない。
「いや、これじゃ、生徒が多すぎて、探そうにも無理だな」
「チャララ、ラッララ~♪」
「あ、私のケータイ鳴ってる!」
 突然流れたそのへんてこなメロディは、絵莉菜の制服のポケットの中に入っていた携帯電話の着信音だった。
「もしもし。あ、瑠璃ちゃん! うん、そう、今どこにA組がいるかで困ってた所なの」
「瑞樹からか?」
 絵莉菜はコクッと頷いた。
「わかった、そこに行けばいいんだね。ありがとう、瑠璃ちゃん! え、鍵士君? うん、一緒にいるよ。え、うん、代われば
いいんだね」
 そう言うと絵莉菜は持っていた携帯を俺の手に渡した。
「なんか瑠璃ちゃん、鍵士君に話があるんだって。何だろうね?」
「さあな。まあいいや、もしもし?」
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「しかし、絵莉菜はどこにいったんだ? それに凜もちゃんと一人で自分の教室に行けたのか……?」
「何? そんなに絵莉菜のこと心配なの~?」
「違えよ! ただまだおはようも言ってねえからよ……」
 その時、教室のドアが勢いよく音を立てて開いた。
「ガラガラガラ」
 と、そこには高く山積みにされたプリントを持ちながらよろよろと歩く生徒の姿があった。
 ――この危なっかしい動き、絵莉菜だ……――
「きゃあぁぁっ!」
 俺の予測通り、大量のプリントを無理して抱えているとしか思えない絵莉菜は、足を躓かせて、そして転んだ。
「危ないっ!」
 何故だか分からない。だが、瞬時に反応した俺の身体は、まるで本能的に働いたように、絵莉菜を受け止めていた。
いっておくが何かを期待して助けたわけではない。決して。まあ、たしかにいいシチュエーションにはなったものの、
問題の絵莉菜が持っていたプリントはその衝撃で宙に舞い、気付くと教室中に散乱していた。
「イテテ……。大丈夫か、絵莉菜?」
「う、うん……。ありがとう、鍵士君」
 上を向いた絵莉菜の顔と、俺の顔があまりにも接近しているためか、絵莉菜は恥ずかしそうに頬を紅潮させている。
もちろん俺も、それは同じで、大好きな絵莉菜とここまで密着して話したのは初めてだった。恐ろしいぐらいの緊張と
嬉しさで、今にも失神しそうだ。
「あ、あの、鍵士君……」
「あ、ゴメン! 今、離れっから!」
 鍵士は素早く絵莉菜を降ろすと、絵莉菜から少し離れた。
「でもホントにありがとう、あの、その……、受け止めてくれて! それでさ、久遠君。その、散らばったプリント、
一緒に片付けてくれるとうれしいんだけど……、ダメかな?」
「お、おお。そうだな、片付けるか。このままじゃ先生が怒るからな」
「瑠璃ちゃんも手伝ってくれる?」
「もちろん! 絵莉菜の頼みなら聞かないわけにはいかないでしょ? でも、その代わり……」
 瑞樹はまた何か危険なことを考えているようだった。
「せっかく、二人とも同じクラスになって、さっきみたいなラブラブなハプニングも起きたことだし、二人ともこれからは
互いに積極的になること! これが条件」
 な、なんて条件だ! 俺にとっては別に構わない話だが、これでは逆に絵莉菜を困らせるだけだ。雫は頼まれたら無理でも
了承してしまうような性格だし……。
「え、ええ!? そんなのムリだよ、瑠璃ちゃん~。第一、それじゃあ鍵士君に失礼だよ~、私なんか……。それに、積極的に
なんかなれないよお~」
 ――いや、まったく失礼じゃない! むしろ光栄ですから!――
「な、何言ってんだよ、瑞樹! 俺たち、そんなんじゃ……」
「ハイハイ、冗談だよ、冗談! ほんとに二人とも純粋なんだから~。真に受けなくてもいいのに。でもさ、やっぱり鍵士と
絵莉菜は、付き合うには最高の相性だと思うんだけどなー」
「瑞樹、いいからお前も早く手伝えー!」
 俺たちの会話を聞いていた生徒達は皆、俺たち三人のやりとりに目を向けていた。そのせいで俺と絵莉菜は、あまりにも
恥ずかしくて、顔から火が出そうだ。
「わかったわよ。それでそこのバカはいつまで寝てるつもり? もう意識が戻ってるのは知ってるんだから、早く起きて一緒に
手伝いなさいよー」
 するとさっきまで床にうつ伏せになっていた敦志が急にむくっと起き上がった。
「ちっ、ばれてたのかよ。わーったよ、親友の久遠と今日も麗しい如月さんがお困りのようならば、致し方ないか。瑞樹の
ヤローと一緒に手伝うのは気にくわんが……」
「なんか言ったー、バカ? 早くしないと、本気で殺るからね」
「ふん、望むところだな。俺も今日こそ、正式に決着をつけようと思ってたからな!」
 ――よく言うよなー、敦志も。そう言っていつも負けてんのお前の方じゃん……――
「あら、やけに自信満々じゃない。まあ、手加減ぐらいはしてやるから」
「ああ? それはこっちのセリフだぜ、瑠璃ちゃん?」
 マズイって、その言い方は! 瑞樹のやつ、完全に殺気全開じゃん! 
 瑞樹は下にうつむきながら拳を握りしめている。この状態は完全に危険域に入っている。
「とうとうアタシを本気にしてくれたわね……、このバカ! 死ねーーー!」
「こいよ、トリャアアァァーー!」
 ドカッ。バスッ。ベキッ。そんでもってまたドカッ。
「お、おい。二人ともその辺にして、早くプリント片付けてくれないか」
 全く二人には聞こえていないようで、なおも二人の攻防は繰り広げられる。
「そ、そうだよ~、瑠璃ちゃん、それに一之瀬君。もうすぐ始業式始まっちゃうよー。だから雪乃先生が来る前にプリント
片付けないと怒られちゃうよ」
「えっ?雪乃先生って、あの烏賀陽雪乃先生のことか?」
「うん、そうだよ? あれ、知らなかった、鍵士君? 今年のA組の担任は雪乃先生なんだよ」
 ――あ……、そうか。俺、遅刻したから、誰が担任か見てなかったんだった――
「ああ、知らなかった。生徒指導の塚原じゃないのには安心したけど、でも確か、雪乃先生ってすごい美人だけどそれに
反して、かなり怖いって噂だったけな……」
「私が何だって? 久遠鍵士」
 いきなり肩に誰かの手が触れた。
 ――ま、まさか……!――
 すぐさま後ろを振り向くと、そこには長い黒髪の、やけに背の高い、それにスタイルのいい、ビシッとスーツをきめた
若い女性が仁王立ちをしていた。その手にはA組と書かれた出席簿が握られていた。
「あの、つかぬ事をお聞きしますが、もしかして雪乃先生?」
「その通りだ。私がこのクラスの担任を受け持つことになった、烏賀陽雪乃だ。よろしく頼む」
 突然の雪乃先生の登場に、クラスの誰もが静まりかえった。否、もちろんあの二人はそれでも喧嘩を続行中だが。

 凜と一緒に歩くこと5分。ようやく高等部の校舎が見えてきた。
「おっきいねー! これが高等部の校舎なの?」
「ああ、このバカでかい建物が、俺たち高等部の校舎。広いから俺から離れるなよな。そうじゃないと迷子になっちまう……」
 言い終わる前に、俺の横にさっきまでいた凜の姿は無かった。
 ――っとに、凜のやつ、ほんとに人の話を聞かねえな……。探してやれるほど、時間に余裕があるわけじゃないってのにな――
 凜を探すか、ほっとくかで悩んでいたその時、不意に誰かに肩を叩かれた。
「ようやくおでましかい、我が親友、久遠よ!」
 この独特な声質と口調、後ろを振り向くと、腐れ縁の悪友、一之瀬敦志がそこにいた。
「ようやくで悪かったな、敦志。朝からいろいろと事件に巻き込まれてな……。実のところ、今もある女子を捜そうとしていた
ところなんだよな、これが」
 すると敦志の口から意外な答えが返ってきた。
「お前が捜している女子? ああ、彼女のことか!」
「お前、知ってるのか! そいつがどこにいるのか」
「もちろんだとも、久遠。そのことなら心配はいらん。彼女ならもうとっくに教室、それも、俺たち2人と同じA組の教室だ!」
 ――今年も敦志と同じクラスだってことをつっこむのはおいとくとして、そうか、凜のやつ、俺が見てない間に自分の教室に
行ったのか。あれ、でも待てよ? よく考えたら敦志のやつ、中学時代から凜のことを知ってるのは当然だとしても、なんで俺が
凜を捜していることを知ってるんだ?――
「おい、彼女に会いたいんだろ! 早くこっちに来い、久遠」
「お、おお。今行く」
 俺の疑念が募っていくのとは反対に、敦志は悠然と俺を連れ立って、生徒で溢れかえった廊下をかいくぐりながら、どんどん
目的地のA組の教室へと向かっている。
「あのさ、敦志。ちょっと聞きたいことがあるんだが」
「久遠、心配しなくとも、お前と心の繋がった親友であるこの俺には、以心伝心で、お前の聞きたいことぐらい分かっている!
そもそも、お前が捜す女子など、彼女1人しかいないだろうしな」
 ――やっぱり、敦志のやつ勘違いしてやがる! おそらくこいつの言う『彼女』とは……――
 ちょうどその時、俺と敦志はA組の教室に到達していた。
「存じていると思うが、既にクラス替えの発表は終わっている」
「ああ、知ってる。それよりさ……」
「俺はな、久遠。今日、つまり高校2年の新学期初日に、お前が必ず遅刻をするだろうと確信していた。まあ、いわゆる暗黙の了解と
いうものだ。そこで親切にも、お前が恥をかかぬようにお前のクラス番号も確認しておいたのだ」
 敦志は誇らしげに言った。俺にとってはどうでもいい問題というか、恥ならしょっちゅうかいてるから別段、そこまで心配して
いなかったんだがな。
「そりゃどうも。で、その俺が捜している女子ってのは……」
「どうやら今年も去年と引き続き、お前と一緒に学校生活を送ることになったようだ。さすがに8年連続同じクラスってのは俺も
驚いている。まさに久遠と俺は腐れ縁だな」
 そうは言ってる敦志だが、あいつはあいつで多分、俺と同じクラスになって本心は喜んでると思うし、かく言う俺もなんだかんだ
いって結構嬉しい。人付き合いがあまり得意じゃない俺にとって、敦志は男友達の中で、唯一、気兼ねすることのない親友だと
いっても過言じゃない。しかし、せっかくさっきの会話でこの話が出てこないよう、ツッコまなかったていうのに、本当に敦志は
期待を裏切らないやつだよ、まったく。
「さて、本題に入ろうか、久遠。ここ、A組の教室にお前がお捜しの『彼女』がいらっしゃるぞ!」
 敦志はA組の教室を指差しながら、大声で叫んだ。俺らの近くで話していた女子2人組が、ビクッとなってその場から離れた。
「あのさ、敦志。やっぱお前勘違いしてないか? 俺が捜してるっていう女子は鈴毬り……」
 凜の名前を出す間もなく、敦志は教室のドアを勢いよく開け放った。
 ここで紹介しておくが、一之瀬敦史の短所の1つ、それが『勘違い』というものである。敦志の行動は時にあいつの勝手な勘違いに
よって引き起こされることがある。この状態になると、ただひたすら自分の勘違いによって突っ走ってしまうので、誰にも止められ
なくなってしまう。一応、この状態の敦志を停止させられる人間がこの学園に1人存在するんだが、現状では、当然のことながら
その1人はいない。
「さあ久遠、お前の捜す愛しの彼女、如月はあそこに……」
 やはり勘違いしていたか。敦志の言っていた『彼女』というのは、俺が捜していた凜のことではなく、俺の片思いの相手、絵莉菜の
ことだったようだ。大体の予想はついていた。そもそも俺自身が敦志の立場だとしたならば、同じ考えをしたかもしれない。俺の頭は
敦志のそれと徐々に近づきつつあるからなおさらだ。
 しかしそんなことを考える必要もなく、俺の目の前には悶絶した敦志の亡骸がそこにあった。
 敦志に急所突きを喰らわせたのは、さっきも言った、学園でただ1人の敦志キラー。瑞樹瑠璃、その人である。俺はただただ、この
惨状に怯えるしかなかった。どう見てもやり過ぎとしか言いようがない。
 ――未由といい、瑞樹といい、どうして俺の周りにいる女ってみんなこんなに危険なんだ!? これじゃあ俺の人生、本気で命懸けじゃ
ねえか……!――
「ホント、このバカは懲りないわねー! せっかくクラス替えして、みんな新鮮な気分でいるってゆうのに。第一、このバカと2年連続で
同じクラスだなんて、新学期早々最悪だわ。ってあれ? 鍵士じゃん! いつからそこにいたの?」
「瑞樹が敦志に急所突きを喰らわせた時から」
「そうだったんだ。ゴメンね、ついこのバカに気がいっちゃってねー。あれ、てことは鍵士もアタシと同じでA組?」
「ああ、そういうことになるな。今年もヨロシク頼むよ」
「まあ、このバカと同じクラスだってことが判明した時から、薄々感づいてたけどね。それよりサ、やったじゃん鍵士!」
「え、何がやったんだ、瑞樹?」
「鈍いわねー。絵莉菜も私たちと同じA組だよ~! 鍵士にこのバカと、そしてアタシに絵莉菜。私たち4人組がまた同じクラスにいる
なんてなんかスゴイよね。 それでさ、今年こそ絵莉菜にコクるんでしょ? 頑張ってね!」
「うっせーよ、瑞樹。お前こそ、敦志にもっと素直になった方がいいんじゃないか?」
「このバカと同じクラスになったことには、アタシの本心的にはウレシイよ、実際」
 ――何だって!? てっきり冗談で言ったのに、本気かよ、瑞樹!?――
「だってホラ、このバカ痛めつけるの、意外とストレス解消になるから。どうも学校てストレス溜まるんだよねー。それに結構このバカで
遊ぶの楽しいしね」
「ハハハ、そうかもな」
 苦笑いするしかなかった。瑞樹瑠璃、やっぱりこいつは人間の皮をかぶった子悪魔に違いない。絶対に恋愛感情みたいなものを瑞樹に
抱かないほうが身のためだ。
「ところでさ、絵莉菜の姿がどこにも見当たらないんだが?」
「そういえばそうね。ま、あんなに親切な絵莉菜のことだから、先生の手伝いでもしてるんじゃないの? ほんと絵莉菜とはいつも一緒に
いるけど、あそこまでどうして人に親切になれるのか、未だに理解できないのよねー」
 そりゃそうだ。絵莉菜と瑞樹の二人は仲のいい二人組なのは周知の事実だが、二人の性格はまるっきり正反対だ。絵莉菜はとても優しく、
誰にでも親切にする。逆に瑞樹はと言うと、外面なら、ショートカットでボーイッシュスタイルをしていて、まるで顔立ちの良い男子のように
見える。それが男子にとってはかなりイイらしく、人気も高い。しかしその顔とは裏腹に、瑞樹はS気質を持ち、男子生徒達を手玉に
とっては楽しんでいる。そのため、一度瑞樹の毒牙にかかった男は、当分女性恐怖症になってしまうと、被害者から聞いたこともある。
 そんな二人の共通点は、おそらく両方とも男子にモテることだろうか。
 絵莉菜はもちろん、瑞樹も外面だけ見れば可愛いと感じる。そんな二人とよく喋っている俺は、よく男子から羨ましいと言われているが、
なるほど、確かに俺は恵まれてるのかもしれないな。
 だがやはり一番気になるのは、瑞樹と敦志の関係だ。
 敦志曰く、自分は自他共に認める女好きだが、瑞樹には全くの恋愛感情など抱いておらん。むしろ、女としての魅力をあいつからは感じない
と言っている。
 最初、俺は無類の女好きの敦志に限って、美人な瑞樹を放っておくとは到底思えなかった。しかし、敦志は本当に瑞樹に対して、今日の今まで
なにも起こしてはいない。当の瑞樹本人も、敦志については、学校の噂で聞いたことがあり。敦志も新たな被害者にしようと考えてたものの、
実際、ナンパどころか完全に無関心のような反応をされ、いつか敦志を見返してやろうとよくわからない闘志を燃やしている。
 そんな背景から、敦志と瑞樹は常日頃対立しあい、様々な口論をしている。結局は瑞樹の武力制裁で事は終わるが、二人の喧嘩は永遠に
終わらないだろう。そんなためか、最近周囲からは、案外お似合いの二人として、実はデキてるんじゃないかとよく噂されている。俺もそう
思わなくもないため、試しに一度、二人にその事を聞いてみた。
「そんなわけないだろ、俺と瑞樹に限って。だいたい、いつも言うように、あいつのことを俺は女として見てないんだよ」
「あのバカと恋人? 頭大丈夫、鍵士? あのバカと付き合うぐらいなら、鍵士と付き合った方がまだマシ。あ、いっとくけど、もしもの話だから」
 否定、否定の嵐だった。まあ、俺には関係のない話なんだが。
              *     *     *

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HN:
音瑚まろん
性別:
男性
職業:
高校生を主にやってる
趣味:
PCゲーム、QMA、他サブカル全体。あと、エ〇ゲ。
自己紹介:
嫁:ふたみたん(byいつか、届く、あの空に)
  関羽さま(by恋姫†無双)
本日のオカズ:ヤンデレやメイド、最近メカ娘にも手を出し始めたようだ
好きなPCゲームw:いや、これといったものはない。浅く、広く、鬼畜を除く
崇拝する絵師:萌木原ふみたけ


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